ポリタス

  • 論点
  • Photo by Juanedc (CC BY 2.0)

何も書く気が起きないけど投票には行く

  • 岡田・F・ぱみゅぱみゅ
  • 2016年7月30日

津田大介さんに何か書けと言われたのでとりあえず書きますが、今回の都知事選、いくら何でもちょっと酷すぎますわな。

ともかく、あまりにも劇場型。二代連続して知事の金銭問題が一種の娯楽・ゴシップ的な形で「ネタ」として消費され、その結果として候補者選びも争点なき話題先行型で進められる始末。話題先行というより話題性のみが注目され、後出し有利説に基づいて立候補者確定まで二転三転……立候補における後出し有利説は、相手陣営の虚を突いて話題をかっさらうからこそ有効なのであって、単に政治ショー的なゴタゴタを続けると、バックアップする政党の統制が取れていない印象を与えてマイナスだと思うんだけど。

本来、五輪を皮切りに東京が世界の中核都市として更に成長することを前提とした都市政策に舵を切るのか、高齢化・人口減の時代を見越して福祉都市に向かうのか、東京という街の分水嶺たる時期だとは思うんですよ。しかし、少なくとも前の二代の都知事が金銭問題で辞職したことからも、政策よりもきわめて俗人的な部分――つまり「こいつ信用できるのかよ」という人柄のようなもの――が今回の選挙において大きな要素となってるわけで。どの候補者も、あるいは与野党ともに、「身内」を一枚岩にすることすら難儀している中、1360万人の都民をまとめるカリスマを持つ人物なんているわけないですよねぇ……。


Photo by Dick Thomas Johnson (CC BY 2.0)

1回50億もかけて、政治家の痴話喧嘩や利権争いや中傷合戦を延々と見せられている

そもそも、東京という街は、短期間で首長の直接選挙を行うには人口規模が大きすぎるんじゃないすかね。アメリカ大統領選が、延々と時間をかけて予備選だなんだと繰り広げているのに比べて、たった2週間程度で1000万人の有権者に政策を説き、人柄で魅了するのは不可能ですわ。まして、与野党それぞれの党利党略、都議会のドンと五輪関係事業がどうこう、脛に抱える傷の暴露合戦、そんなものが蠢く中で政策論争など深まるはずもない。やはり最初から知名度があるか、政党の強力なバックアップがあれば圧倒的に有利――という発想で候補者を選び選挙戦に突入した結果、この有様……。1回50億もかけて、政治家の痴話喧嘩や利権争いや中傷合戦を延々と見せられている気分ですわ。

こまかい政策を地道に説くよりも「悪口」のほうが圧倒的に効く

ネット選挙解禁以降、一瞬で通り過ぎる選挙カーと違って、各候補がウェブサイトなどで政策を発信し、有権者は冷静に熟慮できる環境が整うとの淡い期待は幻でしたね。山奥の村に足を運び、みかん箱に乗って辻説法1万回繰り返す牧歌的な時代と違って、SNS時代に短期間で1000万票を奪い合う選挙戦では、悪評が一度立つと劇的かつ致命的な拡散を見せるので、こまかい政策を地道に説くよりも「悪口」のほうが圧倒的に効く。ネット選挙が解禁されて、怪文書を数百万枚単位で"合法的"にバラ撒けるようになったみたいに思ってる選挙関係者、多いんじゃないですかね。

それはときに「あいつは性格が悪い」といったようなツイートをリツイートする形で、あるいは「これって本当かな?」と個人ブログにURLが貼られる形で、はたまた匿名掲示板に「事実なら許せないよな」とレスを付ける形で、そうでなければまとめサイトに「ネットで非難の声」と客観性を装う形でなされるのですが……仮に1年かけて裁判をやり、その事実が根拠のない風説であると証明したところで、もう遅い。裁判では勝てても2週間後の選挙には勝てないんですから、まあ相変わらず選挙というものは地獄ですよ。

そんなわけで、誰がどんな政策を述べているのかもよくわからないまま、各候補の悪評だけが耳に届いてくる都知事選。くだらねえと無投票を決め込んでもいいのですが、そうしたニヒリズムよりも若干の効果を持つ方法が、民主主義の礎・古代ギリシャの陶片追放選挙で考案されております。つまり、民主主義の原点に立ち返り、「こいつだけはイヤだ」というヤツを選ぶ発想で都知事選を見れば良いのではないかと。


Photo by Marsyas (CC BY 2.5)

一番当選させたくないヤツ以外に投票すれば、一番当選させたくないヤツにダメージを与えられる」という発想で投票、その投票によって「二番目にロクでもないヤツ」が当選しても、一番ロクでもないヤツが当選するよりはマシ。自分にとって最良の投票先でなくとも、自分にとって最悪の投票先でなければOK。

どうせ誰が当選しても大量の死票が出るんです。自分の投票した候補が当選すれば万々歳、落選しても、その票は、選挙後を睨んだ圧力として機能するんじゃないでしょうかね。新都知事は「数百万人がアンタを支持していない」という不安定な状況からの船出になるし、誰が新都知事になるにせよ、「自分以外の候補に流れた有権者の声を聴かねば、またしても短命に終わるのでは……」と、多少なりとも"効く"はず。2位3位は言うまでもなく、俗に泡沫と呼ばれる「一般的ではない主張をする候補者」の得票数=支持基盤の大きさが可視化されることも、政策に若干の影響を与えるやも知れず。誰が当選するかだけでなく、誰が何位で何票獲得するかも注視しておくと良いのではないかと思います。

「選挙期間以外の踏ん張り」でより良い行政を求めていくしかない

思えば東京都では、青島幸男元知事が当選した1995年から20年以上、「有名人」が知事の座にありました。アクの強い人たちだったので、色んなことがあった。けれど、誰が知事になろうとも、色々な問題は起こりつつどうにかやってきたわけで、結局のところ、現場の都職員の頑張りとか、都政を見つめる都民の目とか、そういう「選挙期間以外の踏ん張り」でより良い行政を求めていくしかないような気はしております。

支持したい候補がいればその人に、支持したくない候補がいればその人以外に。誰が都知事になっても圧を加えるために、とりあえず投票箱に1票突っ込んでみましょう。そして、真の正念場は選挙後に都政を監視し続けること――遠からず、また選挙ありそうな気もするし。

ま、そんな感じじゃないですかね。


Photo by iStock

※編集部注
この原稿は、岡田ぱみゅぱみゅのライトサイド(光明面)の原稿です。ダークサイド(暗黒面)の原稿はこちらからご覧いただけます。

著者プロフィール

岡田・F・ぱみゅぱみゅ
おかだ・えふ・ぱみゅぱみゅ

ブログをやっていないブロガー、ツイッターをやっていないツイッタラー。17 歳ゴスロリ女子高生でスイーツ(モツ煮など)が大好き。仕事をせず身動きも せず温暖な地域で光合成をして生きていきたい。

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